2019年06月30日

特集:大理石のペットプロダクトができるまで

大理石シリーズができるまで

去る、2007年12月。
タイルのトイレと同シリーズのボウル製品すべてが惜しまれながらも廃番。
と同時に、新しいタイプのトイレ「NEW only one」の開発が始まっていました。
この新しいトイレの開発期間は、実に構想から1年半。
簡易試作品と、製品化に向けての試作品を合せると、なんとその数20回以上にもなります。実は当初、このトイレは樹脂で製作する予定でした。
デザインコンセプトは、ノートパソコン。
L字に開閉するようなイメージで商品作りを進めていたのですが、樹脂で作る場合は、どうしても初期投資としてかかってしまう型代(金型で立体を形成する型のこと)がネックになっていました。

費用としては、300万円以上かかる物でしたので、個人商店レベルでのものづくりの場合は販売台数を考えるとまったく採算が合わず、この予算の捻出と販売方法に悩んでいたのです。

そして、ある日のこと。
木工・家具製作の職人さんを訪ねた時でした。
「そういえば、職人さんは、樹脂加工なんてやったことあります?」
何気なく、尋ねたときに返ってきた言葉に、すべての答えがあったのです。

「樹脂加工はないけど、こーりゃんならあるよ。」

こーりゃん…とは、コーリアン、つまり人工大理石のこと。

キッチンや洗面の天板などに使われる建材です。

・・・これだっ!と思い、その後、大理石を使って、まずは自分の手で犬のトイレの試作をはじめてみることにしました。

2回、3回…と重ね、次々に浮き彫りになる問題をひとつひとつ、しらみ潰しのように解決していく日々。

面(エッジ部分のこと)の細かなディティールから、全体のバランス、磁石の強さなど、使用感も納得のいくところまで突き詰める。
フタを取ったときの、指先に触れるタッチ感や、磁石がくっつく「カチッ」としたフィット感もとことん追求しました。
それから、底面の脚にはオリジナルで製作したゴムで1~2mmほどの空きを設け、表面、底面の丸みによって、少しライトな印象のディティールに。

お揃いのフードボウル台は、脚部や器のかたつきをゴムにより最小限に抑えた設計で、快適で安全な食事ができるよう細かなところまで配慮しました。

石の持つほどよい高級感や重量感を、何度も確かめながら試作をつづけ、やっとの思いで製品化に辿り着いたのは、2008年4月のことでした。

・・・余談ですが、ここに書いたように、オリジナルで作るプロダクションの流れは、物が違っても同じような挫折や苦労が必ずあるものです。
実は、冒頭で触れた、廃番のタイルシリーズも例外ではなく、同じような道のりを経て製品化したものでした。

お客様からも大変好評をいただいていましたし、とてもありがたいことに、終売から何年も経つ今なお、再販のご希望や問い合わせをいただくことがあります。

ですが、人気が出れば出るほど、そのまま同じようなデザインや仕様で模倣品が出てきてしまう。
仕方のないことですが、当時は模倣品が出る度にすごく頭にきてしまい、いちいち感情的になっていました。

それは、私たちが苦労して苦労して、何度も挫折して挫折して、それでも諦めずに、やっとの思いで出してきたアイデアや形が、いとも簡単に、何の罪悪感もなく、そのまま勝手に使われてしまっているという、その行為に対しての怒りです。

いたちごっこが続く状況に、その怒りの矛先を、どこに向けたらいいのかさえ、分からなくなってしまいました。

そして、私たちが最終的に決断したのは、そのデザインをやめること。
つまり廃番にすることだったのです。

ハンドメイドの作品

そのような訳で廃盤となったタイルシリーズですが、もしも続けて販売していたら、きっと、もっと多くの人へ届けることができた作品かも知れません。
またそれを望む人もいたかも知れない。ですが、それは私たちのやるべきことではない、ときっぱり決意したのです。

それは、weというお店が、これからも犬と暮らす人のインテリアショップとしての先駆者を目指して、新しい物を産み出すこと、挑戦をし続けることこそが、使命であると思ったからです。

逆に言えば、そのくらいの確固たるチャレンジ精神や、ブランドを目指すショップとしてのインパクトがなければ、パイオニアになんかなれるわけがありません。

weの製品は、そもそもほとんどが職人による手作りです。
この大理石のシリーズも、はじめに書いたように型を作って抜くという生産方法ではなく、1つ1つ削り出しで作り上げることを決めました。

だから、そのどれもが、本当に世界にたったひとつのオリジナルのハンドメイドの作品ともいえるもの。
製作工程においても、このくらいで終わり。
という妥協での完成は、絶対にありません。

どの製品も自信と納得が持てる極限のラインまでは、それを手がける職人さんと一緒になって責任をもって仕上げています。

作り手も納得のいくものを作っているから、その作品が大好きになる。

そして、気持ちを込めて作り込められたプロダクトほど、実際に使う人にも魅力が伝わる。
そう、信じています。

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