犬や猫の正しい飲水量は?健康なからだを守るお水について特集します。
水が持つ重要な役割は、大きく分けて3つあります。
1つは、栄養素を溶かして全身に運ぶこと。
もう1つは、老廃物をからだから排出すること。
そして、体温調整です。
からだの水分は約10%失われると、死にいたるといわれていますので、
毎日適切な量のお水を飲むことは、生きていくうえで必要不可欠なことであり、
病気の予防や、健康なからだの維持にもつながる、まさに“命の源”です。
いつでも清潔で新鮮なお水を用意してあげることはもちろん、
普段から愛犬や愛猫が1日にどのくらいお水を飲んでいるのかを把握しておくことも大切です。
飲水量が足りていないと、熱中症や脱水症、尿路感染症など、病気を引き起こす原因となってしまいますが、
逆に、多く飲み過ぎている場合にも、糖尿病や腎不全、子宮蓄膿症などの病気が隠れていることがあります。
普段から飲水量をチェックしていれば、体調の変化にも気づきやすくなりますので、
お家でできる健康チェックのバロメーターとして、取り入れていきましょう。
1日にどのくらい飲むと良いの?
さて、気になるのは1日にどのくらいお水を飲めば良いのだろう?ということですね。
体内の水分は、上記の役割をはたすために、常に循環していることが正常です。
食べ物や飲み水から摂取した水分は、尿や便、汗、呼吸を通してからだの外へ出されていきますので、
余分な水分をためておくことはできません。
そのため、水分は毎日適切な量摂取しつづける必要があるのです。
目安となる計算式としては、
成犬の場合 体重(㎏)の0.75乗 × 132ml
成猫の場合 体重(㎏)の0.75乗 × 70ml
とされていますが、もう少し簡単にとらえると、
成犬の場合 体重1kgあたり 90ml以下
成猫の場合 体重1kgあたり 50ml以下
を目安として、これを越えている場合には、多飲を疑った方が良さそうです。
ですが、水分は食事の中からも摂取していますので、直接飲むお水がどのくらい必要かは、ドライフード、ウェットフード、手作りごはんなど、フードのタイプによって大きく異なりますし、もちろん、気温や運動量にもよって変わってきます。
暑い日やたっぷり運動した日に飲水量があがるのは、当然のことですね。
また、仔犬や授乳期の犬猫は、通常よりも多く水分が必要となります。
気になるお水の選び方
お水を用意する際に気になるポイントとして、
水道水とミネラルウォーター、どちらがいいの??
という質問をいただくことがあります。
「犬や猫にミネラルウォーターはNG」
と聞いたことがあるかもしれません。
なぜ、ミネラルウォーターが良くないと言われるかというと、
カルシウムやマグネシウムの濃度が高い硬水を選んでしまうと、尿路結石のリスクが高まることがあるからです。
重要なのは、お水の硬度ですので、軟水であればミネラルウォーターを与えても安心です。
日本の水道水は軟水ですので、そのまま与えても全く問題ありませんが、塩素の匂いが気になるという方(中には犬や猫)もいるかもしれません。
そういった場合は、浄水器を通した水を用意するか、浄水機能を持つウォーターファウンテンが役立ちます。
一方、水道水は、実はその塩素によってミネラルウォーターや浄化水よりも雑菌が繁殖しにくい、といったメリットがありますので、置き型のボウルで水を与える場合や、お留守番の時間が長い場合には、水道水の方が適していそうです。
安全面からも、栄養面からも、犬や猫に与えて安心なものですので、普段の暮らしの中では、水道水でも十分ではないかと思いますが、災害や緊急用のストックには、人も犬や猫も飲めるミネラルウォーターを選んでおくと安心ですね。
水分補給の環境について
お水をいつでも十分に飲ませるためには、置き場所や容器の種類も重要です。
お水は、必ず複数の場所に用意して、種類や高さも愛犬、愛猫にあっているものを選ぶようにしてください。
容器の種類としては、「ボウルタイプ」「ペットボトル給水器」「ウォーターファウンテン」などがあります。
もっともスタンダードな置き型の「ボウルタイプ」は、犬や猫の飲みやすさに加えて、給水欲求も満たされやすいです。
また、うがい効果が高いのも大きなポイントで、口の中の食べかすなどを流してくれます。
ノズル式の「ペットボトル給水器」は、なんといっても倒れる心配がない、という点がメリットです。
また、ホコリなども入りにくく清潔さを保てるので、お留守番中ケージの中で過ごす場合は、取り付けておくと安心です。
その反面、うがい効果が少なく、お口の洗浄はあまり期待できません。
また、一度に飲める量が少ないので、中にはストレスを感じてしまう子もいます。
循環型の「ウォーターファウンテン」は、飲みやすさや満足度、うがい効果と清潔さといった上の2つのメリットをどちらも叶えるものです。
また、流れるお水は給水欲求を刺激することが期待できますが、
電気が必要なことと、フィルター交換などに手間とお金がかかってしまう点がデメリットとしてあげられます。
さまざまなメリット・デメリットを理解して、置き場所だけでなく、容器も複数用意するのも良いのではないでしょうか。
また、仔犬や仔猫、なかなかお水を飲まない子には、やぎみるくパウダーなどのふりかけを使うのも効果的ですし、
生の食材から得られる水分は、お水を飲むよりもからだへの吸収率が高いため、手作りごはんを取り入れるのもおすすめです。
適切な水分補給でいつも健康に
お水の交換は、ごはんの用意と同じように、毎日必ず行う習慣ですから、その時々のお天気や行動とあわせて、量を気にかけながら交換していけば、特別なことをしなくても、お家でできる健康チェックの1つになるはずです。
「今日はいっぱい走ったから、たくさん飲んだな〜。その分おしっこはちゃんと出てるかな?」
「今日は手作りごはんを食べたから、お水の減りがちょっと少ないけど、水分は足りてるかな?」
何気ないあたりまえの行為の中で、愛犬、愛猫の体調変化のヒントを見つけていきましょう。